夢は常に語り続けなければいけない。一度や二度、社員に話しかところで、けっして伝わらないからである。中距離の夢と大きな夢を描き、それを明確なかたちで言葉にしたら、今度は社員と夢を共有する作業が必要である。社長と役員だけがわかっていても、社員たちが理解していなければ、それこそ絵に描いた餅で終わる。とくに会社には、男と女がいるし、年配も若手もいる。外国人もいるかもしれない。経歴も、生まれ育った環境も、千差万別である。
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そんな十人十色の社員たちが、夢を共有することによって一つに結集すれば、会社として成長するのは間違いない。私は、社員のタイプが妙に統一されている会社は、あまりいい会社だと思わない。社員たちの基本的な価値観や過去の体験がよく似ていると、往々にして発想の幅が狭くなって、新しいアイデアが出にくいからだ。その典型が官僚組織だろう。そこで私は、「多様性からの連帯」を唱えている。たとえば、DIはまだ社員が七十人程度の小さな会社だが、なるべく多様性に富んだ人材を採用するように心がけてきた。DIにくるまでの経歴一つとってみても、海上自衛隊出身の原田に始まり、証券、銀行、商社、生保、サービス、メーカーと、じつに多様である。アメリカの研究所にいた人間もいれば、大手企業の中央研究所にいた人間もいる。持っている資格も多彩だ。MBA、弁護士、公認会計士、CPA、工学博士……。それだけに、共有する夢がよほどしっかりしていないと、社内がバラバラになってしまいかねない。夢とは、「多様性からの連帯」に不可欠なグルー(糊)なのだ。個性が違う人と人とを糊づけして一つの集団をつくりあげ、目的に向かって一丸となって走っていくための大切な方法が、共有できる夢を掲げることなのである(ちなみに、リーダーの求心力もグルーと呼んでいい)。