バブルが弾けるとともに、いつの間にか姿を消してしまったアライアの服を、新しい世紀がきた頃、表参道の「10コルソコモ」で見つけたときの驚きと感動は、たとえば、たいして好きではなかったはずなのに、なぜか切なく思い出す昔の恋人にばったり再会したような気持ちに似ていた。まだデザイナーをやっていたんだ、よかったなあ……八〇年代の彼の服は自分と何の縁もないものだったのに、そんなことを思った。あの狂騒の時代を生き延びて服作りをする情熱が、このチュニジア生まれのデザイナーに、ちゃんと残っていたということが嬉しかったのだ。いま「10コルソコモ」や同じく表参道の「コムデギャルソン」で見ることの出来るアライアの服は、とてもシンプルな黒の、コートとジャケット、スカートがいくつかと、目の覚めるように美しい深紅のツインニット、そして定番のバレエシュしスといった限られたアイテムだけである。