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注射による豊胸術

一九六七年、福島の主婦が都心の某美容外科医のもとで、注射による豊胸術を受け、死亡するという事故が起きた。同様の事故はその四年前にも起こっていたが、今回は厚生省も重い腰を上げ、緊急対策会議が開かれ、僕たち日本形成外科学会のメンバーが参考人として呼ばれた。これ以上美容外科を野放しにはしておけない。形成外科を麻酔科と同じように特殊標榜科とし、その中に美容外科を含めて規制したいというのである。標榜科というのは、医療法で定められた医師の名乗れる専門科名である。ところがややこしいことに、標榜科でなくとも該当する医療行為を行うのは自由なのだ。たとえば耳鼻科の看板を掲げていなくても、医師免許をもってさえいれば、耳鼻科の治療をすること自体は許されている。つまり標榜科というのはあくまでも広告規制であって、新聞、雑誌または看板などにその科名以外を名乗ることはできないというだけのことなのだ。ただし医師の側から見れば、標榜科でなくては医学界で一人前に扱ってもらえない。
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