光の出力は電圧の3・4乗に、消費電力は電圧の1・6乗にそれぞれ比例し、寿命は電圧の16乗に反比例し、光の色温度はおよそ電圧のO・42乗に比例することが、経験的に知られている。たとえば電圧を5%下げると、光の出力は20%低下するが、寿命は約2倍になる。100ワット、1700ルーメン(ルーメンは、光の量をあらわす単位)、寿命が1000時間の電球の場合、電圧を半分にするとおよそ15ワットの電球と同じ160ルーメンになるが、寿命は7000年を超えると計算される。ほんとうにそうなのかとも思うのだが、世界記録を集めた『ギネスブック』によると、カリフォルニアにあるリバモア灯台の4ワットの電球は、1901年に点灯されて以来光りつづけているそうであるし、テキサスのオペラハウスに設置された40ワットの電球は、1908年9月21日以来光っているという。しかし、不活性ガスが封入されているとはいえ、タングステンフィラメントが融点に近づけば近づくほど、高温のために蒸発していくのは避けられない問題であった。この問題を根本的に解決した電球の大幅な改良が、1959年にGE社のエドワードーツブラーとフレデリックーモズビーによって行なわれた。アルゴンに微量の酸素とヨウ素を加えることにより、電球の内側で「ハロゲンサイクル」現象が起こり、劇的に問題が解決されたのである。ハロゲンとはフッ素・塩素・臭素・ヨウ素などの化学活性の強い元素の一族を意味している。ハロゲンサイクルとはつぎのような現象である。前述のように、タングステンは高温のフィラメントから蒸発して、低温の電球のガラス内壁へ拡散していくのだが、一方、封入されたハロゲンガスは逆に、フィラメント付近の高温で熱分解し、タングステンと反応して「ハロゲン化タングステン化合物」をつくる。ガラス壁がある一定の温度以上であると、このハロゲン化タングステンは蒸気となり、対流、拡散によってフィラメント近くへ戻っていく。