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「自然科学らしい医学」を構築

今日の立場で考えれば医学はむしろ「自然科学らしさ」の最も不十分な自然科学とも考えられるのですが、鴎外が「自然科学のうちで最も自然科学らしい医学」といい「厳密(exakt)な学問」としての医学を強調している(「妄想」)のは西洋医学に正面からぶつかった時の彼の驚きがいかに大きかったかをきわめて鮮明に物語っているもののように思われます。そして、その感慨は大筋において今日も変わらずにわが国の医学の世界に引きつがれているといっていいのではないでしょうか。動物実験に強く傾斜した医学研究法というのも、分析的な手法を遠慮なく、しかも効率的に利用できる動物に依存することによって「自然科学らしい医学」を構築したいという医学研究者の願望のあらわれにほかならないでしょう。