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インドのバスはさながら修行僧の世界

デリー行きのバスがやってきたのは、午前二時だった。またしてもベンチ型椅子が左右に並んだ路線バスだった。このバスに今度は十時間である。食料も確保しなくてはならなかった。ベナレスからカンプールまでのバスには、食事休憩がなかった。路線バスなのだから当然なのだが、僕らはそのバスを始発から終点まで乗り続ける珍客なのである。カンプールのバスターミナルで売っていた冷たいサモサというカレー味コロッケで空腹はしのいだものの、深夜のターミナルにそれ以上の食料はなかった。

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バスは暗い道を威勢のいいクラクションを鳴らしながら進んでいた。デリーに近づいているせいか、トラックの数も多くなってきた気がした。眠ろうとするのだが、この椅子では深い眠りには入れそうもなかった。運転手は眠気覚ましと思っているのか、独特のリズムのインド音楽のテープをがんがんと流す。これはもう僕らにしたら拷問に近かった。することもなく、ただ、前のトラックのテールランプを見つめるしかない。慰みといったら、そう、バッグからとり出すペットボトルから水を飲んで喉を潤すことぐらいだった。なんだかインドのバスの旅は、修行僧の世界に入り込んできた気さえする。